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家族を支えようとする人ほど、いちばん疲れてしまう理由 ── 家族コンディショニングという視点

2025年12月19日 15:26

家族が不調なとき、
「何かしてあげたい」
「少しでも楽にしてあげたい」

そう思うのは、とても自然なことです。



声をかけたり、気を配ったり、情報を探したり。
多くの方が、真剣に家族を支えようとしています。



でも、相談を受ける中で、
こんな言葉を聞くことが少なくありません。


「支えようとしているのに、どんどん疲れてしまう」
「関係がぎくしゃくしてしまった」
「家の空気が重くなってしまった」


これは、誰かのやり方が間違っているからではありません。


よくある“家族の中の状態”


家族に不調が続くと、こんな状況が起きやすくなります。


・声をかけるほど、相手が黙り込んでしまう
・励ましたつもりが、逆に距離ができる
・正論を伝えたくなるが、通じない
・家の中に、常に緊張感が漂う
・支える側が先に疲れてしまう


どれも、特別な話ではありません。
多くの家庭で、ごく自然に起きていることです。



それでも、多くの人がこう考えてしまいます。


「もっと上手に関われたはず」
「自分の関わり方が悪いのではないか」


なぜ、支えようとする人ほど疲れてしまうのか


理由は、とてもシンプルです。

家族は、近すぎる存在だから。



近い存在だからこそ、
・変化に気づきやすい
・心配が先に立つ
・何とかしなければ、と思ってしまう



そして、不安や緊張は、
言葉よりも先に、空気として伝わります。


「大丈夫?」
「無理しないで」
「こうしたらいいんじゃない?」


どれも善意から出た言葉でも、相手の状態によっては、
“期待”や“プレッシャー”として伝わってしまうことがあります。



その結果、
支える側も、支えられる側も、どちらも苦しくなってしまうのです。


多くの人が誤解しているポイント


ここで、ひとつ大切な視点があります。



支えることは、
頑張ることでも、正しく導くことでもありません。



でも、家族だからこそ、

・分かってもらおうとする
・理解させようとする
・前向きにさせようとする


こうした関わりが増えやすくなります。



その結果、
「解決しようとするほど、関係が固まる」
という状態が起きてしまうことがあります。



これは失敗ではありません。
それだけ、真剣に向き合ってきた証です。


家族コンディショニングという考え方


家族コンディショニングは、
誰かを変えるためのものではありません。


・正しい関わり方を教えるものでもない
・我慢を強いるものでもない


家族全体の
「関係の緊張」や「無意識の負荷」に目を向ける視点です。



不調が続くとき、
問題は「その人」だけにあるわけではありません。



生活のリズム、空気感、距離感。
そうした“関係の状態”が、
知らないうちに重なっていることがあります。



整える対象が変わるだけで、
家族全体が少し楽になることがあります。


もし、今とても疲れているなら


支える側が疲れてしまったのは、
怠けているからでも、冷たいからでもありません。



それだけ真剣に、
家族のことを考えてきたということです。



「何かを変えなければ」と思わなくて大丈夫です。

まずは、

・なぜ疲れてしまったのか
・何が重なっていたのか

それを理解するところからで十分です。



家族コンディショニングは、
そのための“視点”を提供するものです。


この文章が、
少しでも肩の力を抜くきっかけになれば幸いです。