EOLコラム

パニック症の人が一番つらいのは「発作」ではありません ── 相談を受ける中で、必ず出てくる本音

2025年12月19日 14:57

「発作が起きたらどうしよう」



パニック症について語られるとき、

まず出てくるのはこの不安かもしれません。



確かに、突然強い不安や身体の反応に襲われる体験は、

とても怖いものです。



多くの方が、

その瞬間を思い浮かべて苦しさを語ります。


ただ、実際にパニック症の相談を受ける中で、

ほぼ必ず出てくる〝本音〟があります


それは──

「発作そのものより、その前後の時間のほうがつらい」

という声です。


本当に多いのは、こんなつらさです


・いつ起きるか分からない不安

・外出や予定を決められない苦しさ

・体調のことを常に考えてしまう疲労感

・家族や周囲に迷惑をかけているのでは、という罪悪感

・説明しても分かってもらえない孤独感


こうした声は、特別なものではありません。

むしろ、多くの方が同じような感覚を抱えています。


それでも、

「自分が弱いから」

「もっと気持ちを強く持たなければ」

そうやって自分を責めてしまう人が少なくありません。


なぜ「症状以外」が一番つらくなるのか


ここには、ちゃんとした理由があります。


不安が続くと、身体は自然と

「守る側」に回ろうとします


・危険を避けようとする

・先回りして備えようとする

・少しの変化にも敏感になる


これは、異常でも失敗でもありません。

人が生き延びるために備わっている、ごく自然な反応です。


ただ、その状態が長く続くと、

生活そのものが「警戒モード」に包まれてしまいます。


すると、


・落ち着こうとするほど、意識が身体に向く

・頑張って普通に過ごそうとするほど、疲れが増す

・考えないようにするほど、不安が気になる


という悪循環が起きやすくなります。

多くの人が誤解しているポイント


ここで、ひとつ大切なことがあります。


つらさが続いているのは、

「努力が足りないから」でも

「気持ちが弱いから」でもありません


むしろ、


・ちゃんとしようとしている

・迷惑をかけないようにしている

・何とか元の生活に戻ろうとしている


そうした姿勢がある人ほど、

この苦しさに長く巻き込まれてしまうことがあります。


「落ち着こう」

「前向きになろう」

「早く抜け出そう」


その気持ち自体は、とても自然です。

ただ、人によっては、それがかえって負担になることもあるのです。

立ち位置を少し変えるだけで、楽になる人がいる


ここでお伝えしたいのは、

「何かを治そう」「変えよう」という話ではありません。


ただ、


・今のつらさには構造があること

・無理をしているわけではないこと

・別の関わり方が存在すること


それを知るだけで、

少し呼吸がしやすくなる人がいます。


パニック症に限らず、

不安と身体が同時に反応している状態では、

頑張り方を変えるだけで、感じ方が変わることがあります

もし、今も苦しさの渦中にいるなら


「まだ何も始められていない」

「回復のスタートラインにも立てていない」


そう感じている人もいるかもしれません。


それでも、

今の状態を“理解し直すこと”は、立派な一歩です


自律調整院では、

症状を消すことを目的にせず、生活や家族との関係を含めた視点から、

無理のない関わり方を大切にしています。


ここに書いた内容が、

少しでもあなたの息苦しさを和らげるきっかけになれば幸いです。